前回の記事では、AIを活用したMV制作の全体的な流れについて紹介しました。
今回は実際に制作を始める最初の工程である、
「歌詞からMVのストーリーを作る方法」
について紹介します。
MV制作というと、まず映像を考え始めるイメージがありますが、私の場合は逆です。
最初に考えるのは、
「この歌は何を伝えたいのか」
という部分です。
歌詞をそのまま映像化しない
MVを作る際に最初に気を付けていることがあります。
それは、
歌詞をそのまま映像にしない
ということです。
例えば、
「月」という言葉が出てきたら月を映す。
「海」という言葉が出てきたら海を映す。
これだけでは単なる説明映像になってしまいます。
MVは歌詞を説明するものではなく、
歌詞の中にある感情を表現するもの
だと考えています。
まずは主人公を決める
ストーリーを作る前に決めるのが主人公です。
今回制作しているMVでは、
- 若い女性
- 一人でいる時間が多い
- 誰かを想い続けている
- 希望を失わない
という人物像を設定しました。
歌詞の主人公が男性であっても、映像では女性を主人公にすることで、より普遍的なラブストーリーとして表現できると考えたからです。
主人公を決めることで、
- 表情
- 服装
- 行動
- 演技
が統一され、MV全体に一貫性が生まれます。
歌詞を感情ごとに分類する
次に歌詞を細かく分析します。
私が行っている方法は、
歌詞を「出来事」ではなく「感情」で分類することです。
例えば、
希望
- 君を信じている
- いつまでもそばにいる
寂しさ
- 一人でいる
- 会えない時間
決意
- 守りたい
- 支えたい
幸せ
- 一緒にいる時間
- 思い出
このように感情ごとに整理します。
するとMVの流れが自然に見えてきます。
MV全体の物語を作る
感情の流れを整理すると、
今回のMVでは次のようなストーリーになりました。
前半
孤独な主人公
↓
遠くにいる大切な人を想う
↓
思い出を振り返る
中盤
不安や寂しさを感じる
↓
それでも相手を信じ続ける
↓
前を向き始める
後半
夜空や月が希望の象徴になる
↓
世界が少しずつ明るくなる
↓
愛は消えないという結論へ向かう
歌詞に書かれていない部分も映像で補完しながら、一つの物語として構成していきます。
シーン割りを作る
ストーリーが完成したら、曲の時間に合わせてシーンを配置します。
例えば、
イントロ
夜の海辺
Aメロ
一人で歩く主人公
サビ
想い出の映像
夜空と月
間奏
場所の変化
海から都会へ
ラストサビ
希望と再会のイメージ
アウトロ
満天の星空
静かな余韻
この段階では細かな演出は考えません。
まずは大まかな設計図を作ることが目的です。
AI時代でも一番大切なのは人の想像力
最近はAIに歌詞を渡すだけで映像を作ることもできます。
しかし実際にMV制作を進めて感じるのは、
AIが作るのは映像であり、
物語を作るのは人間だということです。
どんな世界観にするのか。
主人公は何を感じているのか。
視聴者に何を伝えたいのか。
その部分を考えるのは今でも人間の役割だと思います。
そして、その考えた物語を形にするための強力なパートナーがAIなのだと感じています。
次回予告
次回は、
「シーン設計編 ~ AIに伝わる映像演出の作り方 ~」
として、
- カメラワーク
- 背景設定
- 光の演出
- 色彩設計
- シーン同士のつなぎ方
など、実際にどのようにシーンを作り込んでいるのかを紹介したいと思います。
MV制作はまだ始まったばかりですが、完成までの過程をこれからも公開していきます。