これまでの記事では、
- ストーリー制作
- シーン設計
- 画像生成
- 動画生成
という流れを紹介してきました。
そして、いよいよ最後の工程が動画編集です。
動画生成AIでシーンごとの映像が完成したからといって、それだけではまだMVにはなりません。
一つひとつの映像をつなぎ、音楽と調和させ、一つの作品へと仕上げる工程が必要です。
今回は、私がMV制作で行っている編集の考え方をご紹介します。
編集は「つなぐ作業」ではなく「作品を作る作業」
動画編集というと、
動画を順番に並べるだけ
というイメージを持たれることがあります。
しかし実際には、それ以上に重要な役割があります。
例えば、
- 曲の盛り上がりに合わせて映像を切り替える
- 視聴者の感情が途切れないようにつなぐ
- シーンのテンポを調整する
- 映像全体の雰囲気を統一する
こうした積み重ねによって、MV全体の完成度が大きく変わります。
曲のリズムに合わせて映像を配置する
今回のMVでは、1つのシーンを約5秒単位で制作しました。
その理由は、
編集で細かく長さを調整できるようにするためです。
実際には、
- 歌詞の始まり
- ブレス
- 間奏
- サビへの入り
などに合わせて、数フレーム単位で映像を前後させています。
ほんのわずかなタイミングの違いでも、映像と音楽の一体感は大きく変わります。
シーン同士を自然につなぐ
動画生成AIはシーンごとに映像を作ります。
そのため、そのまま並べると、
人物の向きや背景の明るさが変わり、不自然に感じることがあります。
そこで編集では、
シーンの終わりと次の始まりが自然につながるように調整します。
場合によっては、
- 数フレーム削る
- 少し長く見せる
- フェードを加える
などの工夫をしています。
シーンの切り替えを意識させないことも、大切な演出の一つです。
エフェクトは「目立たせる」ためではなく「なじませる」ために使う
動画編集ソフトには、多くのエフェクトが用意されています。
ですが、私は必要以上に使わないようにしています。
例えば、
- フェードイン
- フェードアウト
- クロスディゾルブ
- ホワイトアウト
など、シンプルなトランジションを中心に使用しています。
今回のMVでも、思い出のシーンから現在へ戻る場面では、ホワイトアウトを使って自然に時間の流れを表現しました。
エフェクトは派手さを演出するためではなく、視聴者が違和感なく物語に入り込めるようにするためのものだと考えています。
リップシンクも最後の重要な調整
歌唱シーンでは、口の動きと歌声が合っていることが重要です。
動画生成AIだけでは細かなタイミングがずれることもあるため、必要に応じてリップシンク専用のAIも活用しました。
また、
歌っていない場面では口を動かさない
という点にも気を配りました。
小さな違いですが、こうした積み重ねが映像全体の自然さにつながります。
「引き算」の編集を意識する
編集を始めると、
「あれも入れたい」
「この演出も追加したい」
と思うことがあります。
しかし、最終的には
引き算が大切だと感じています。
テンポを乱すカット。
意味が重複する映像。
目立ちすぎる演出。
そうした要素を整理していくことで、本当に伝えたい感情がより際立ちます。
完成したら必ず通して見る
編集が終わったら、
部分ごとの確認だけではなく、
最初から最後まで通して再生します。
そのときは、
「制作者」
ではなく、
初めて見る視聴者
の気持ちで見るようにしています。
違和感がある場面はないか。
感情の流れは自然か。
最後まで見たくなる作品になっているか。
完成直前のこの確認が、作品全体の仕上がりを左右します。
AI時代でも最後に作品を完成させるのは人
今回のシリーズでは、
企画から編集まで、AIを活用したMV制作の流れを紹介してきました。
制作を通して改めて感じたのは、
AIは非常に優秀なパートナーですが、
作品の方向性を決めるのは人であるということです。
ストーリーを考えること。
感情を映像へ落とし込むこと。
細かな違和感に気付き、修正を重ねること。
その積み重ねが、作品の個性になります。
AIは制作を支えてくれる強力な存在ですが、最終的な「作品づくり」は、やはり人の感性によって完成するのだと実感しました。
シリーズを振り返って
全6回にわたり、
AIを活用したMV制作の流れをご紹介してきました。
- 制作フローを考える
- 歌詞からストーリーを作る
- シーンを設計する
- 主人公と背景を画像で作る
- 静止画を動画へ変える
- 編集で一つの作品へ仕上げる
もちろん、作品づくりに正解はありません。
今回ご紹介した方法も、私が実際に試行錯誤しながらたどり着いた一つの進め方です。
もしこの記事が、これからAIで映像制作に挑戦する方のヒントになれば、とてもうれしく思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。