2026-08-16

35年前にPC-9801で作った曲を救出する――KryoFlux、Neko Project II、Codexで5インチFDを復元した記録

はじめに

35年ほど前、PC-9801上の音楽アプリ 「CECILIA」 を使って、オリジナル曲を作っていました。

曲は5インチフロッピーディスクに保存したままになっていたが、現在のPCには当然5インチドライブはありません。

ディスク自体も経年劣化している可能性があり、

「いつか取り出したい」

と思いながら、長い時間が過ぎていました。

今回の目的は、次の二段階でした。

  1. 当時のCECILIAをPC-98エミュレーター上で起動し、楽譜と曲データを読める状態にします。
  2. 曲データを現在のDAWであるCubaseへ読み込めるMIDI/MusicXMLに変換します。

結果として、

  • CECILIAの起動
  • データディスクの読み込み
  • 壊れていた楽譜表示の復元
  • 独自形式の曲データからCubase用MIDIの作成

まで成功しました。

この記事では、成功した手順だけでなく、うまくいかなかった点や、切り分けで分かったことも含めて記録します。

同じように古いPC-98のフロッピーを救出したい人の参考になればうれしく思います。

注意

古い磁気媒体は状態が一枚ずつ異なります。

この記事の設定や方法が、すべてのディスクにそのまま適用できるとは限りません。

オリジナル媒体への書き込みは避け、まず読み取り専用で複数回吸い出し、元データを必ず保存しておくことをお勧めします。


事前に用意したもの

今回の作業を始める前に、次の機材を用意しました。

  • KryoFlux本体(ヨーロッパから購入)
  • NEC FD1155D 5インチフロッピーディスクドライブ(中古)
  • 34ピン接続ケーブル
  • FDD用電源
  • Windows PC
  • PC-98エミュレーター Neko Project II(NP2W)

FD1155Dは、そのまま接続するだけではなく、ドライブ選択用ジャンパーピンの設定変更が必要でした。

最終的にはKryoFluxでドライブ0として扱えるよう、

DS0 / Drive 0

側に設定しました。

ジャンパーやケーブルを変更するときは、必ずKryoFluxとFDDの電源を切ります。

34ピンケーブルの赤線と1番ピンの向きも、両端で確認しました。


対象となったフロッピーディスク

ディスクは次の4枚でした。

  • Cecilia:アプリ本体と起動環境
  • data
  • orgsongdata
  • songdata

KryoFluxで各トラックの磁気変化をRAWストリームとして保存しました。

ここで重要なのは、最初からセクタイメージだけを作るのではなく、KryoFluxのRAWを保存しておくことです。

通常のディスクイメージでは、CRCエラーのセクタが欠落してしまいます。

一方、RAWストリームには読み取り時の磁気変化が残るため、

  • 後からPLL条件を変える
  • 複数回転を比較する

といった解析ができます。

今回の復元では、このRAWを残していたことが決定的に重要でした。


RAWからNP2W用HDMを作る

対象ディスクはPC-98の2HD形式でした。

基本形は次の構成になります。

  • 77シリンダ
  • 2ヘッド
  • 1トラック8セクタ
  • 1セクタ1,024バイト
  • 合計1,261,568バイト

KryoFlux RAWをGreaseweazleのPC-98形式定義

pc98.2hd

で解析し、NP2Wが直接読めるヘッダーなしHDMへ変換しました。

CECILIAディスクは、1,232セクタ中1,230セクタを回収できました。

欠落は、

  • トラック0・面0に1セクタ
  • トラック9・面0に1セクタ

でした。

一方、曲データ用のディスクは、正常CRCで回収できたセクタが少ないものもありました。

ただし、

  • FAT
  • ディレクトリエントリ
  • 必要なファイルのクラスタ

が残っていれば、ディスク全体が完全でなくても目的のファイルだけ救出できる場合があります。


最初の壁

「システムディスクを入れ再起動してください」

作成したHDMをNP2WのFDD1に入れてリセットすると、CECILIAは起動しませんでした。

画面には次のようなメッセージが出ました。

セシリア:システムディスクを入れ再起動してください

ただし、その下にはDOSのプロンプトである

A>

が表示され、DIRを実行すると CECILIA.EXE を含むファイル一覧が読めました。

つまり、

DOSもファイルシステムも動いています。

問題は「起動ディスクでない」のではなく、CECILIA自身が実ディスク固有の情報を確認して終了している可能性が高いと考えられました。

補助プログラムのKCGVBIOSも調べ、

  • CPUクロック
  • GDCクロック

も変更しましたが、このメッセージ自体は変わりませんでした。

そこでCodexに CECILIA.EXE の16ビットコードを解析してもらいました。

低レベルディスク確認を行う処理が複数見つかり、エミュレーター向けにその確認部分を回避する修正版を作成しました。

この修正版HDMで、CECILIAはNP2W上から自動起動するようになりました。

ここでの教訓は、

「DOSのプロンプトが出る=単純な起動失敗」とは限らない

ということです。

アプリ自身がディスクチェックを行い、エラーを表示してDOSへ戻っているケースがあります。


データは読めたが、SCORE画面が黒いノイズになる

CECILIAは起動し、FDD2に曲データのHDMを入れると、曲も読み込めました。

ところがSCORE表示へ切り替えると、画面下部が黒いノイズ状になり、楽譜を正常に表示できませんでした。

メニューなど画面上部は正常でした。

最初はPC-98のグラフィック設定を疑いました。

  • CPUクロックを約4.9MHzまで下げる
  • GDCクロックを2.5MHzにする
  • EGC/GRCG関連設定を試す
  • VBIOSの常駐状態を確認する

しかし、どの設定でも症状は変わりませんでした。

Codexがディスクイメージ内のファイル配置を解析したところ、原因候補が見つかりました。

フォントデータ

FONT.DAT

が使っている物理セクタの一つが、まさにトラック9・面0のCRC不良セクタでした。

変換時、その1,024バイトには次のような代替文字列が繰り返し入っていました。

-=[BAD SECTOR]=-

SCORE画面が必要とするフォントデータの一部が壊れていたため、黒いノイズとして表示されていた可能性が高いと分かりました。


再吸い出しを試みるが、インデックス信号が来ない

実ディスクから問題のトラックだけ再度読み取ろうとしました。

KryoFlux本体はWindowsから認識され、

  • FDDのアクセスランプも点灯
  • ディスクも回転

しました。

ヘッド最大移動位置を確認する次の校正も成功しました。

.\dtc.exe -c2

結果は次のとおりでした。

CM: maxtrack=83

しかし、回転数を測る-c3や通常のRAW取得では、インデックス信号が得られませんでした。

missing index - no disk in drive

別のFDでも同じだったため、媒体ではなく、

  • ドライブのインデックスセンサー
  • 34ピンケーブルの8番線
  • 接触部分

の問題と判断しました。

-c2はヘッド移動を確認するだけなので、インデックス信号がなくても成功します。

一方、-c3やRAW取得には、1回転の境界を示すインデックス信号が必要になります。

この違いは、切り分けの大きな手掛かりになりました。

すぐに機器を交換するのは難しかったため、新規吸い出しはいったん断念し、過去に保存していたRAWを探すことにしました。


過去RAWから15回分の不良セクタを回収する

過去の保存フォルダから、CECILIAディスクの異なる吸い出し結果が3組見つかりました。

各RAWには1トラックあたり5回転分が入っていたため、問題のセクタについて合計15回分の読み取り候補を取り出せた。

通常のPC-98形式デコードでは、15回ともトラック9・面0・セクタ2がCRC不良でした。

ただしGreaseweazleの低レベルデコーダーは、CRCが不正でも読み取れた1,024バイト本体を保持していました。

15候補を比較すると、次のことが分かりました。

  • 15候補はすべて異なる
  • 8,192ビット中8,070ビットは全15回で一致
  • 読み取りごとに揺れていたのは122ビット
  • ディスク上に記録されたCRC値は、全15回でFE54と一致

つまり、セクタ全体が消失していたのではありません。

ごく一部の弱くなった磁気部分が、読み取りごとに0または1へ揺れていました。

まず15回の多数決で各ビットの候補を作りました。

しかし、そのままではCRCが一致しませんでした。

そこで、揺れている122ビットについて、

15回中何回0/1として読まれたか

を信頼度として利用しました。

そのうえで、記録CRC

FE54

を満たす組み合わせを探索しました。

最終的に、多数決結果から修正が必要だったのは、

8,192ビット中わずか4ビット

でした。

補正後の1,024バイトから計算したCRCは、ディスクに記録されていたFE54と一致しました。

このセクタを起動可能なHDMへ戻したところ、CECILIAのSCORE画面は正常に表示されました。

設定の問題に見えていた黒いノイズは、実際には、

フォントファイル内の4ビットの復元問題

だったのです。


曲データを画像ではなくVMCから取り出す

次の目的は、CECILIAの曲をCubaseへ移すことでした。

当初はSCORE画面を画像として保存し、画像から楽譜認識する予定でした。

実際、曲ごと・トラックごとに楽譜画像をキャプチャしました。

しかしディスクイメージをさらに調べると、songdataディスク内に曲ファイルのディレクトリエントリが残っていました。

例えば次のようなファイルが見つかりました。

  • CLASIC.VMC
  • CLA(NEW).VMC

songdataディスクのブートセクタは壊れていたため、通常のFATツールではディレクトリを表示できませんでした。

それでも、同じセットの正常なディスクからPC-98 2HDのFAT12構成を推定できました。

  • 1セクタ1,024バイト
  • 予約領域1セクタ
  • FAT 2個
  • 1 FATあたり2セクタ
  • ルートディレクトリ192エントリ

ディレクトリエントリから開始クラスタとファイルサイズを読み取り、FAT12のクラスタチェーンをたどってVMCを抽出しました。

ディスク全体を完全に修復できなくても、

  • 目的ファイルのディレクトリエントリ
  • FATチェーン
  • 使用クラスタ

が生きていれば、個別ファイルを救出できる好例でした。


VMC形式を解析してMIDIへ変換

CECILIAのVMCは一般的なMIDIファイルではありません。

ただし内部を調べると、イベントは規則的な8バイト単位で保存されていました。

概念的には次の情報を持っています。

イベント種別
MIDIノート番号
ゲートタイム
次イベントまでの時間
ベロシティ
表示用フラグ

イベント種別には次の値が使われていました。

  • 90:音符または休符イベント
  • FD:小節位置
  • FE:トラック終端

時間分解能は48 PPQで、4/4拍子の1小節は192 ticksでした。

各トラックについて小節ごとの合計を計算すると、すべて正確に192になり、キャプチャした楽譜画像とも一致しました。

VMC内の音高はMIDIノート番号としてそのまま利用できました。

ゲートタイム、ステップタイム、ベロシティも保持されていたため、画像から音符を読み直すより正確な変換が可能になりました。

作成したCubase用ファイルは次の形式です。

  • Standard MIDI File Type 1
  • 5独立トラック
  • 480 PPQへ変換
  • 4/4拍子
  • 90 BPM
  • 元のゲートタイムとベロシティを保持
  • 楽譜編集用MusicXMLも同時生成

CLASICは、

  • 36小節
  • 合計996音

CLA(NEW)は、

  • 83小節
  • 合計2,255音

として変換できました。

Cubaseでは、通常のMIDIファイルとして読み込める。

ファイル → 読み込み → MIDIファイル

変換ファイルでは各トラックに汎用ピアノ音色を設定し、Cubase上で好みのVST音源へ差し替えられるようにしました。


Codexが担当したこと

今回の作業は、Codexと対話しながら進めました。

Codexは単に手順を説明するだけでなく、こちらのPC上にあるファイルを調査し、

  • コマンドの実行
  • 解析スクリプトの作成
  • イメージの生成
  • 検証

まで行いました。

主に次の作業を担当しています。

  • KryoFlux RAWの構成確認
  • GreaseweazleによるPC-98セクタ解析
  • NP2W用HDMの作成
  • CECILIA.EXEの16ビットコード解析
  • エミュレーター向けディスクチェック回避版の作成
  • FAT12とファイル配置の解析
  • FONT.DATの欠損セクタ特定
  • 15回転分のCRC不良データ抽出
  • ビット多数決とCRC制約による1,024バイト復元
  • VMCファイルの個別抽出
  • VMCイベント形式の解析
  • Cubase用MIDI/MusicXMLの生成
  • 生成ファイルの構造検証

作業中、こちらは、

  • NP2Wの画面表示
  • FDDのランプや回転状態
  • 実際に音が出たか

といった、**「現物でしか分からない結果」**を伝えました。

Codexはその結果をもとに、次の調査や修正版を作りました。

このような古い環境の復元では、一度の指示で完成するというより、

人間が実機やエミュレーターの状態を確認し、AIが大量のバイナリやログを解析する共同作業

が向いていると感じました。

特に今回のようなケースでは、一般的な検索結果だけでは解決できません。

手元にしか存在しない35年前のファイルを、その場で解析して、

仮説を立て、検証し、修正する

必要があります。

Codexのファイル操作とコード実行機能が活きた部分でした。


同じ作業をする人へのヒント

1. 最初にRAWを保存する

セクタイメージだけでなく、KryoFlux RAWを保存します。

できれば同じディスクを複数回吸い出し、別フォルダへ残します。

今回、3組×5回転の過去RAWがなければ、4ビットの復元はできませんでした。


2. オリジナル媒体には書き込まない

変換、修正、パッチはすべてコピー側で行う。

オリジナルRAWと実FDは保存します。


3. エラーを一種類だと思わない

今回だけでも、次の異なる問題がありました。

  • アプリ固有のディスクチェック
  • ファイル内のCRC不良セクタ
  • エミュレーターの設定と似た画面症状
  • FDDのインデックス信号不良
  • ブートセクタ破損によるFAT認識失敗

一つの設定変更ですべて直るわけではありません。

どの層まで正常かを順番に切り分けることが重要でした。


4. 「ディスクが読めない」と「ファイルが救えない」は別

ブートセクタや一部セクタが壊れていても、

  • FAT
  • ディレクトリエントリ
  • 対象クラスタ

が残っていれば、ファイル単位で救出できる可能性があります。


5. CRC不良でもRAW本体を捨てない

CRC不良は、「全データが不明」という意味ではありません。

大部分が一致し、ごく一部だけが揺れていることもある。

  • 複数読み取り
  • ビット多数決
  • 記録CRC

の組み合わせで復元できる場合があります。


6. ハッシュ値と作業ログを残す

どのRAWから、どの条件で、どのイメージを作ったかを記録します。

完成ファイルのSHA-256も残しておくと、後から破損や取り違えを確認できます。


7. 最終結果は必ず実際のアプリで確認する

CRCやファイル構造が正しくても、実際の表示や再生が期待どおりとは限りません。

今回は、

  • SCORE画面が正常になったこと
  • Cubase用データの小節数
  • 音符数
  • トラック構造

まで検証しました。


今回の成果

最終的に、次の状態まで到達しました。

  • CECILIAがNP2W上で起動する
  • 当時の曲データを読み込める
  • SCORE画面が正常表示される
  • CLASIC.VMCCLA(NEW).VMCをディスクイメージから抽出できる
  • 5トラックを維持したCubase用MIDIを生成できる
  • 楽譜編集用MusicXMLも生成できる

35年前の曲が、当時の画面で再び表示され、現在のDAWへ移せる形になりました。

単なるファイル変換ではなく、

  • 古い機材
  • 磁気媒体
  • PC-98固有形式
  • アプリ独自形式
  • エミュレーター
  • 現在のMIDI環境

をつなぐ作業でした。


おわりに

古いフロッピーディスクの復元は、機材さえそろえれば終わる作業ではありませんでした。

  • 読めないセクタ
  • 実機固有のチェック
  • 壊れたブート情報
  • 独自ファイル形式

など、時代の異なる問題が何層にも重なっていました。

それでも、

RAWを残していたこと。

複数回の読み取りがあったこと。

そしてCodexと一つずつ切り分けられたこと。

それによって、最初は黒いノイズだった楽譜を正常に戻し、曲をCubaseへ渡すところまで進められました。

古いデータは、

「開けない」だけで、まだ中に残っていることがあります。

もし同じように昔の作品を眠らせている人がいたら、媒体が完全に読めなくなる前に、まずRAWとして保存することをお勧めしたいと思います。

そして一般的な変換で失敗しても、すぐに諦めず、

どの層まで情報が残っているか

を確認してみてください。

今回の記録が、誰かの古い作品を未来へつなぐヒントになれば幸いです。

2026-07-25

【完成】AIと一緒に作ったMV「I will be there」を公開します

 約6回にわたってお届けしてきた「AI MV制作プロジェクト」。

ついに、完成したミュージックビデオを公開できるところまでたどり着きました。

今回制作した作品は、オリジナル楽曲 「I will be there」 のMVです。

映画のワンシーンを見ているような映像を目指し、「永遠の愛」をテーマに、物語性を重視した作品として制作しました。


このMVはAIだけで作ったわけではありません

「AIで作った」と聞くと、ボタン一つで完成したように思われるかもしれません。

しかし実際には、

  • ストーリーを考える
  • シーンを設計する
  • キャラクターを作る
  • 画像を生成する
  • 動画を生成する
  • 編集で作品として仕上げる

という工程を何度も繰り返しています。

AIは非常に優秀な制作パートナーですが、

「どんな作品にしたいのか」

を考えるのは、やはり人間の役割でした。


制作中に一番苦労したこと

今回もっとも時間をかけたのは、

「映像のつながり」

でした。

動画生成AIは、シーン単体では非常に美しい映像を作ってくれます。

一方で、

  • 人物の向き
  • 表情
  • カメラワーク
  • 光の当たり方
  • 背景

などを前後のシーンで一致させるには、多くの試行錯誤が必要でした。

プロンプトを少し修正しては生成し、

映像を確認してまた修正する。

この繰り返しによって、少しずつ理想のMVへ近づけていきました。


使用したAIツール

今回の制作では、複数のAIツールを組み合わせて制作を進めました。

その中でも動画生成には、KlingAI を使用しています。

KlingAIは、静止画から自然な動画を生成できるだけでなく、カメラワークや人物の動きも細かくコントロールできるため、ストーリー性のあるMV制作との相性が非常に良いと感じました。

もちろん、一度で理想通りの映像になることは少なく、プロンプトを何度も調整する必要はあります。

それでも、アイデアを映像として形にしてくれる強力なパートナーでした。

もしKlingAIをこれから始めてみたい方は、登録時に友達招待コードを入力すると特典を受けられるキャンペーンが実施されている場合があります。

友達招待コード

7BABHSB8JZ9R

※キャンペーン内容は変更される場合がありますので、登録時に最新の内容をご確認ください。


完成したMV


タイトル:I will be there

作品をご覧いただけましたら、ぜひ感想をいただけるとうれしいです。

「このシーンが好きだった」

「ここが印象に残った」

そんな一言でも、今後の作品づくりの大きな励みになります。


このシリーズを通して感じたこと

今回の制作を通して、AIは「作品を作る存在」ではなく、

作品づくりを支えてくれる最高のパートナー

だと感じました。

ストーリーを考え、

演出を決め、

細かな違和感を修正し、

最後まで完成へ導く。

その中心には、やはり人の想像力や感性があります。

一方で、そのアイデアを短時間で映像として形にできるAIの力には、本当に驚かされました。

これからAIはさらに進化していくと思います。

その中で、人とAIがそれぞれの得意分野を活かしながら、一緒に作品を作っていくスタイルは、映像制作の新しい可能性の一つになるのではないかと感じています。


最後に

全7回にわたって「AI MV制作プロジェクト」をご覧いただき、本当にありがとうございました。

このシリーズでは、完成した作品だけではなく、その裏側にある試行錯誤や制作プロセスも紹介してきました。

これからAIを使って映像制作に挑戦してみたい方にとって、このシリーズが少しでも参考になれば幸いです。

そして、このMV「I will be there」が、皆さんの心に少しでも残る作品になれば、とてもうれしく思います。

今後も新しい作品づくりに挑戦していきますので、ぜひまたブログへ遊びに来てください。

2026-07-20

【第6回】編集編 ~ MVとして完成させる ~

 これまでの記事では、

  • ストーリー制作
  • シーン設計
  • 画像生成
  • 動画生成

という流れを紹介してきました。

そして、いよいよ最後の工程が動画編集です。

動画生成AIでシーンごとの映像が完成したからといって、それだけではまだMVにはなりません。

一つひとつの映像をつなぎ、音楽と調和させ、一つの作品へと仕上げる工程が必要です。

今回は、私がMV制作で行っている編集の考え方をご紹介します。


編集は「つなぐ作業」ではなく「作品を作る作業」

動画編集というと、

動画を順番に並べるだけ

というイメージを持たれることがあります。

しかし実際には、それ以上に重要な役割があります。

例えば、

  • 曲の盛り上がりに合わせて映像を切り替える
  • 視聴者の感情が途切れないようにつなぐ
  • シーンのテンポを調整する
  • 映像全体の雰囲気を統一する

こうした積み重ねによって、MV全体の完成度が大きく変わります。


曲のリズムに合わせて映像を配置する

今回のMVでは、1つのシーンを約5秒単位で制作しました。

その理由は、

編集で細かく長さを調整できるようにするためです。

実際には、

  • 歌詞の始まり
  • ブレス
  • 間奏
  • サビへの入り

などに合わせて、数フレーム単位で映像を前後させています。

ほんのわずかなタイミングの違いでも、映像と音楽の一体感は大きく変わります。


シーン同士を自然につなぐ

動画生成AIはシーンごとに映像を作ります。

そのため、そのまま並べると、

人物の向きや背景の明るさが変わり、不自然に感じることがあります。

そこで編集では、

シーンの終わりと次の始まりが自然につながるように調整します。

場合によっては、

  • 数フレーム削る
  • 少し長く見せる
  • フェードを加える

などの工夫をしています。

シーンの切り替えを意識させないことも、大切な演出の一つです。


エフェクトは「目立たせる」ためではなく「なじませる」ために使う

動画編集ソフトには、多くのエフェクトが用意されています。

ですが、私は必要以上に使わないようにしています。

例えば、

  • フェードイン
  • フェードアウト
  • クロスディゾルブ
  • ホワイトアウト

など、シンプルなトランジションを中心に使用しています。

今回のMVでも、思い出のシーンから現在へ戻る場面では、ホワイトアウトを使って自然に時間の流れを表現しました。

エフェクトは派手さを演出するためではなく、視聴者が違和感なく物語に入り込めるようにするためのものだと考えています。


リップシンクも最後の重要な調整

歌唱シーンでは、口の動きと歌声が合っていることが重要です。

動画生成AIだけでは細かなタイミングがずれることもあるため、必要に応じてリップシンク専用のAIも活用しました。

また、

歌っていない場面では口を動かさない

という点にも気を配りました。

小さな違いですが、こうした積み重ねが映像全体の自然さにつながります。


「引き算」の編集を意識する

編集を始めると、

「あれも入れたい」

「この演出も追加したい」

と思うことがあります。

しかし、最終的には

引き算が大切だと感じています。

テンポを乱すカット。

意味が重複する映像。

目立ちすぎる演出。

そうした要素を整理していくことで、本当に伝えたい感情がより際立ちます。


完成したら必ず通して見る

編集が終わったら、

部分ごとの確認だけではなく、

最初から最後まで通して再生します。

そのときは、

「制作者」

ではなく、

初めて見る視聴者

の気持ちで見るようにしています。

違和感がある場面はないか。

感情の流れは自然か。

最後まで見たくなる作品になっているか。

完成直前のこの確認が、作品全体の仕上がりを左右します。


AI時代でも最後に作品を完成させるのは人

今回のシリーズでは、

企画から編集まで、AIを活用したMV制作の流れを紹介してきました。

制作を通して改めて感じたのは、

AIは非常に優秀なパートナーですが、

作品の方向性を決めるのは人であるということです。

ストーリーを考えること。

感情を映像へ落とし込むこと。

細かな違和感に気付き、修正を重ねること。

その積み重ねが、作品の個性になります。

AIは制作を支えてくれる強力な存在ですが、最終的な「作品づくり」は、やはり人の感性によって完成するのだと実感しました。


シリーズを振り返って

全6回にわたり、

AIを活用したMV制作の流れをご紹介してきました。

  1. 制作フローを考える
  2. 歌詞からストーリーを作る
  3. シーンを設計する
  4. 主人公と背景を画像で作る
  5. 静止画を動画へ変える
  6. 編集で一つの作品へ仕上げる

もちろん、作品づくりに正解はありません。

今回ご紹介した方法も、私が実際に試行錯誤しながらたどり着いた一つの進め方です。

もしこの記事が、これからAIで映像制作に挑戦する方のヒントになれば、とてもうれしく思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

2026-07-12

【第5回】動画生成編 ~ 静止画を映像へ変える ~

 

これまでの記事では、

  • ストーリー作り

  • シーン設計

  • 画像生成

について紹介してきました。

今回は、いよいよ静止画を動画へ変える工程です。

画像生成AIで作った1枚の画像は、それだけでも美しい作品になります。

しかしMVでは、その世界に"命"を吹き込み、音楽とともに動かす必要があります。

その役割を担うのが動画生成AIです。

今回は、私が実際にMV制作で行っている動画生成の流れや、制作を通して感じたポイントを紹介します。


動画生成AIは「動画を作る」のではなく「動きを作る」

最初は私も、

「画像をアップロードすれば動画になる」

と思っていました。

もちろん、それだけでも動画は生成されます。

しかし、その結果は思い描いていたものとは大きく異なりました。

例えば、

  • 主人公が歩き始めてしまう

  • カメラが意図しない方向へ回り込む

  • 表情が変化してしまう

  • 背景の雰囲気が変わる

など、細かなズレが積み重なります。

そこで気付いたのは、

動画生成AIに必要なのは「何を描くか」ではなく、「どう動かすか」を伝えることでした。


プロンプトは「映像監督の演出指示」

私は動画生成AIへのプロンプトを、

映像監督がスタッフへ出す演出指示

のように考えています。

例えば、

「海辺に立つ女性」

というだけでは情報が足りません。

実際には、

  • 主人公はその場から動かない

  • 視線は月を見つめたまま

  • 髪だけが風で自然に揺れる

  • ワンピースの裾が静かになびく

  • 波は穏やかに打ち寄せる

  • カメラはゆっくり前へ寄る

というように、一つひとつの動きを細かく指定しています。


「動かしたいもの」と「動かしたくないもの」を明確にする

制作を進める中で特に重要だと感じたのが、

動かすものと、動かさないものを区別して伝えることです。

例えば歌唱シーンでは、

動かしたいもの

  • 口(リップシンク)

  • 衣装

一方で、

動かしたくないもの

  • 主人公の立ち位置

  • 顔の向き

  • 背景の構図

  • カメラアングル(必要以上の変化)

があります。

この指示が曖昧だと、AIは「動きがあるほうが自然」と判断し、歩き出したり、大きくカメラを動かしたりすることがあります。

そのため最近では、

「人物はその場に留まり続ける」

「背景構図を維持する」

「カメラ移動はごくわずか」

など、動かさない部分も明確に記述するようにしています。


カメラワークは控えめなくらいがちょうどいい

映画のような映像を目指すと、

つい大きくカメラを動かしたくなります。

しかしMVでは、

歌詞や歌声が主役です。

そのため、

  • ゆっくり近づく

  • わずかに横へ回り込む

  • ゆっくり引く

程度の自然な動きのほうが、歌に集中しやすい映像になると感じています。

実際の制作でも、

「もう少し控えめに」

「回り込みを半分くらいに」

と何度もプロンプトを修正しながら調整しています。


一度で完成することはほとんどない

動画生成AIは非常に優秀ですが、

一度で理想通りの動画になることはほとんどありません。

例えば、

「表情は理想的だけれどカメラが速すぎる」

「背景は良いが人物が歩き始める」

「髪の動きは自然だが服が大きく揺れすぎる」

といったように、少しずつ気になる点が見つかります。

そのため、

生成

確認

プロンプト修正

再生成

というサイクルを何度も繰り返しています。

この試行錯誤こそが、AI動画制作の面白さでもあります。


シーンは「5秒単位」で考える

今回制作しているMVでは、

1つの動画を長く作るのではなく、

約5秒ごとに区切って制作しています。

こうすることで、

  • 演出を細かく調整できる

  • 修正がしやすい

  • 映像のテンポをコントロールしやすい

  • 後から編集でつなぎやすい

というメリットがあります。

長い動画を一度に作るよりも、短いシーンを積み重ねるほうが、最終的な完成度は高くなると感じています。


AIとの「対話」が映像を育てる

動画生成AIは、ボタン一つで完成品を作るツールではありません。

むしろ、

「もう少しカメラをゆっくり」

「髪だけを自然に揺らしたい」

「人物は動かさず背景だけに変化を付けたい」

そんな細かな要望を何度も伝えながら、一緒に作品を育てていく存在です。

私自身、生成結果を見ながらChatGPTと改善点を整理し、プロンプトを少しずつ磨いてきました。

この繰り返しによって、頭の中にあったイメージが少しずつ映像として形になっていく瞬間は、とても大きな達成感があります。


次回予告

次回は、

「編集編 ~ バラバラのシーンを1本のMVへ仕上げる ~」

として、

  • 動画同士のつなぎ方

  • フェードやトランジションの使い方

  • シーンの長さ調整

  • リップシンクの合わせ込み

  • 完成度を高める最終仕上げ

など、MVとして完成させる最後の工程をご紹介します。

ここまで作ってきた映像が、一つの作品としてつながる瞬間をお届けしたいと思います。

2026-07-03

【第4回】画像生成編 ~ 主人公と背景を作る ~

 前回は、AIに伝わるシーン設計について紹介しました。

今回は、実際に動画生成AIへ入力するための**「最初の1枚」**となる画像の作り方について紹介します。

動画生成AIは、入力された画像をもとに映像を作り出します。

つまり、最初の画像の品質が、その後の動画全体の品質を左右すると言っても過言ではありません。

私も制作を始めた当初は、「雰囲気の良い画像ができれば十分だろう」と考えていました。しかし実際に試してみると、それでは思い通りのMVにはなりませんでした。

そこで今回は、私が実際の制作で意識している画像生成のポイントをご紹介します。


主人公は「同じ人物」であり続けなければならない

MVでは、複数のシーンをつなぎ合わせて1本の作品にします。

そのため、主人公がシーンごとに別人のように見えてしまうと、作品への没入感が大きく損なわれます。

私は画像を作る前に、主人公の設定をできるだけ細かく決めています。

例えば、

  • 年齢
  • 髪型・髪の長さ
  • 髪色
  • 顔立ち
  • 服装
  • アクセサリー
  • 表情の傾向

などです。

動画生成AIは少し条件を変えただけでも人物の印象が変わることがあります。

そのため、毎回同じ人物になるように、プロンプトには共通する特徴を繰り返し記述しています。


背景は「場所」ではなく「世界観」を作る

背景も非常に重要です。

例えば「海辺」という一言でも、

  • 朝日が昇る海
  • 夕焼けの海
  • 月明かりに照らされた海
  • 嵐の海

では、まったく違う印象になります。

今回制作しているMVでは、歌詞の感情に合わせて背景を変化させています。

例えば、

孤独

静かな夜の海。

月だけが海面を照らし、波も穏やか。

色味は青を基調にしています。


希望

少しずつ明るくなる空。

月明かりが広がり、世界全体が柔らかい光に包まれる演出を取り入れています。


新しい展開

物語が進むにつれて、

海辺から都会の夜景へ。

背景を変えることで、主人公の心情や物語の転換を表現しています。

背景は単なる景色ではなく、もう一人の登場人物のような存在だと考えています。


構図も映像の一部

画像生成では、「何を描くか」だけでなく、「どう見せるか」も重要です。

例えば、

  • 正面から歌うシーン
  • 横顔を映すシーン
  • 少し引いた全身のシーン
  • 後ろ姿のシーン

では、同じ場所でも印象は大きく変わります。

私はシーンごとに、

「このカットでは何を伝えたいのか」

を考えながら構図を決めています。


光が変わると感情も変わる

画像生成で意外と重要なのがライティングです。

例えば、

月明かりだけのシーンでは静けさや切なさを。

街灯やビルの明かりが加わると温かさや希望を。

夕日の柔らかい光では懐かしさを表現できます。

光の色や強さは、セリフがなくても感情を伝える大切な要素です。


納得いくまで何度も作り直す

画像生成AIは、一度で理想の画像を作ってくれることはほとんどありません。

実際の制作では、

「表情は良いけれど背景が違う」

「背景は理想的だけれど人物の向きが違う」

「全体の雰囲気は良いが光が強すぎる」

ということがよくあります。

そのため、

プロンプトを少し修正して生成。

結果を確認してまた修正。

この作業を何度も繰り返しています。

完成した1枚の裏側には、多くの試行錯誤があります。


ChatGPTを「画像生成の設計者」として使う

今回の制作では、ChatGPTに画像を直接作ってもらうだけではありません。

まず、

  • ストーリー
  • シーンの目的
  • 背景
  • 主人公の設定
  • 光の演出
  • 構図

を一緒に整理し、その内容をもとに画像生成を進めています。

さらに、生成された画像を確認しながら、

「人物が少し右を向いているので正面寄りにしたい」

「背景をもう少し暗くしたい」

「月を画面右上に配置したい」

といった細かな調整もChatGPTと相談しながら進めています。

AIを"画像を作る道具"として使うのではなく、"映像制作のパートナー"として活用している感覚です。


画像は「動画の最初のフレーム」

今回のMV制作では、画像そのものが完成品ではありません。

この画像は、動画生成AIへ入力するためのスタート地点です。

そのため、

「この画像からどんな映像へ発展させるのか」

まで考えながら作っています。

主人公の視線。

立ち位置。

背景。

余白。

カメラが動く方向。

これらを意識しておくことで、その後の動画生成がスムーズになります。

画像は静止画ですが、その先の「動き」を想像しながら設計することが、MV制作ではとても重要だと感じています。


次回予告

次回は、

「動画生成編 ~ 静止画を映像へ変える ~」

として、

  • 動画生成AIへの指示(プロンプト)の作り方
  • カメラワークや人物の動きをどう伝えるか
  • 思い通りの動画にならなかったときの修正方法
  • シーン同士を自然につなぐための工夫

など、実際に動画を作る工程について紹介したいと思います。

いよいよ、静止画だった世界が動き始めます。

2026-06-26

【第3回】シーン設計編 ~ AIに伝わる映像演出の作り方 ~

 前回は、歌詞からMV全体のストーリーを作る方法を紹介しました。

ストーリーが決まったら、次はいよいよ**「シーン設計」**です。

ここで重要になるのは、

「自分が頭の中で思い描いている映像」と「AIに伝わる指示」は別物である

ということです。

AIは、人間の「こんな感じで」という曖昧なイメージを読み取ることはできません。

だからこそ、映像を構成する要素を一つひとつ具体的に言葉へ落とし込む必要があります。

今回は、私が実際に行っているシーン設計の考え方を紹介します。


シーンは「1枚の映画のカット」として考える

最初の頃は、

「海辺に立って歌う女性」

という程度のイメージしかありませんでした。

しかし、それだけでは動画生成AIによって毎回違う映像になってしまいます。

そこで現在は、1シーンを映画のワンカットとして設計しています。

例えば、

  • 主人公はどこに立っているか
  • カメラはどこから撮るのか
  • どちらを向いているか
  • 光はどこから当たっているか
  • 背景には何があるか

といった情報を整理してからAIへ指示します。


「何があるか」より「何を感じさせたいか」

例えば海辺のシーン。

「夜の海辺」

だけでは、AIによってまったく違う景色になります。

そこで私は、

  • 静かな波
  • 月明かり
  • 青い時間
  • ゆっくり流れる雲
  • 微風で揺れる髪

というように、

見えるものだけでなく、空気感まで設計します。

この積み重ねによって、映像全体の雰囲気が大きく変わります。


カメラワークを細かく決める

AIはカメラワークも指示できます。

例えば、

  • ゆっくり近づく(Push In)
  • 少しずつ離れる(Pull Back)
  • 横へ回り込む(Orbit)
  • 見上げる(Tilt Up)
  • 見下ろす(Tilt Down)

などです。

MVでは、歌詞の感情に合わせてカメラを動かすことで、映像の印象が大きく変わります。

例えば、主人公の決意を表現したい場面では、ゆっくりと近づくカメラを使うことで、視聴者も感情に引き込まれやすくなります。

逆に、孤独や距離感を表現したい場面では、少しずつカメラを引くことで、その感情を強調できます。


シーン同士の「つながり」を考える

これは実際に制作を始めてから強く感じたことです。

動画生成AIは1本ずつ映像を作るため、

前後のシーンとのつながりまでは考えてくれません。

そのため、

次のシーンへどう繋げるか

を最初から設計しておく必要があります。

例えば、

前のシーンの最後で主人公が右を向いていたら、

次のシーンの最初も右を向いた状態から始める。

手の位置や体の向き、視線、背景の明るさまで合わせることで、自然につながる映像になります。

実際の制作では、この「最初のフレーム」と「最後のフレーム」を意識することで、シーン同士を滑らかに接続できるようになりました。


光と色で感情を表現する

MVでは、光も重要な演出です。

例えば今回の作品では、

  • 海辺では青く静かな月明かり
  • 希望を表す場面では少し明るい光
  • 都会では温かみのある街明かり

というように、シーンごとに光の役割を変えています。

色を変えるだけでも、視聴者が受ける印象は大きく変わります。


AIに伝える情報は「多すぎる」くらいでちょうどいい

動画生成AIを使い始めた頃は、

短いプロンプトで十分だと思っていました。

しかし実際には、

情報が少ないほどAIの解釈に任せる部分が増え、毎回違う映像になってしまいます。

現在では、

  • 人物
  • 表情
  • 動き
  • 背景
  • 天候
  • カメラ
  • 雰囲気
  • 感情
  • 次のシーンとのつながり

まで細かく文章にしています。

その結果、頭の中でイメージしていた映像にかなり近いものを生成できるようになりました。

もちろん、一度で理想の映像になることはほとんどありません。

何度もプロンプトを修正し、生成結果を見比べながら少しずつ完成度を高めています。


AIとの対話が作品を育てる

今回の制作を通して感じているのは、

動画生成AIは「ボタン一つで理想の映像を作ってくれる魔法の道具」ではないということです。

むしろ、

AIと対話しながら作品を一緒に育てていく感覚

に近いと感じています。

映像を見て、

「もう少し表情を柔らかくしたい」

「背景を少し暗くしたい」

「カメラの動きをゆっくりにしたい」

そんな細かな修正を積み重ねることで、少しずつ理想のMVへ近づいていきます。


次回予告

次回は、

「画像生成編 ~ MVの印象を決める最初の1枚を作る ~」

として、

  • なぜ最初の画像が重要なのか
  • 主人公の見た目をどう統一するか
  • 構図やライティングの考え方
  • 動画生成AIで使いやすい画像を作るコツ

など、実際の制作で工夫しているポイントを紹介したいと思います。

いよいよ、MV制作が「設計」から「実際の映像づくり」へと進んでいきます。

2026-06-13

【第2回】歌詞からMVストーリーを作る方法 ~AIでMV制作プロジェクト~

 前回の記事では、AIを活用したMV制作の全体的な流れについて紹介しました。

今回は実際に制作を始める最初の工程である、

「歌詞からMVのストーリーを作る方法」

について紹介します。

MV制作というと、まず映像を考え始めるイメージがありますが、私の場合は逆です。

最初に考えるのは、

「この歌は何を伝えたいのか」

という部分です。


歌詞をそのまま映像化しない

MVを作る際に最初に気を付けていることがあります。

それは、

歌詞をそのまま映像にしない

ということです。

例えば、

「月」という言葉が出てきたら月を映す。

「海」という言葉が出てきたら海を映す。

これだけでは単なる説明映像になってしまいます。

MVは歌詞を説明するものではなく、

歌詞の中にある感情を表現するもの

だと考えています。


まずは主人公を決める

ストーリーを作る前に決めるのが主人公です。

今回制作しているMVでは、

  • 若い女性
  • 一人でいる時間が多い
  • 誰かを想い続けている
  • 希望を失わない

という人物像を設定しました。

歌詞の主人公が男性であっても、映像では女性を主人公にすることで、より普遍的なラブストーリーとして表現できると考えたからです。

主人公を決めることで、

  • 表情
  • 服装
  • 行動
  • 演技

が統一され、MV全体に一貫性が生まれます。


歌詞を感情ごとに分類する

次に歌詞を細かく分析します。

私が行っている方法は、

歌詞を「出来事」ではなく「感情」で分類することです。

例えば、

希望

  • 君を信じている
  • いつまでもそばにいる

寂しさ

  • 一人でいる
  • 会えない時間

決意

  • 守りたい
  • 支えたい

幸せ

  • 一緒にいる時間
  • 思い出

このように感情ごとに整理します。

するとMVの流れが自然に見えてきます。


MV全体の物語を作る

感情の流れを整理すると、

今回のMVでは次のようなストーリーになりました。

前半

孤独な主人公

遠くにいる大切な人を想う

思い出を振り返る


中盤

不安や寂しさを感じる

それでも相手を信じ続ける

前を向き始める


後半

夜空や月が希望の象徴になる

世界が少しずつ明るくなる

愛は消えないという結論へ向かう


歌詞に書かれていない部分も映像で補完しながら、一つの物語として構成していきます。


シーン割りを作る

ストーリーが完成したら、曲の時間に合わせてシーンを配置します。

例えば、

イントロ

夜の海辺


Aメロ

一人で歩く主人公


サビ

想い出の映像

夜空と月


間奏

場所の変化

海から都会へ


ラストサビ

希望と再会のイメージ


アウトロ

満天の星空

静かな余韻

この段階では細かな演出は考えません。

まずは大まかな設計図を作ることが目的です。


AI時代でも一番大切なのは人の想像力

最近はAIに歌詞を渡すだけで映像を作ることもできます。

しかし実際にMV制作を進めて感じるのは、

AIが作るのは映像であり、

物語を作るのは人間だということです。

どんな世界観にするのか。

主人公は何を感じているのか。

視聴者に何を伝えたいのか。

その部分を考えるのは今でも人間の役割だと思います。

そして、その考えた物語を形にするための強力なパートナーがAIなのだと感じています。


次回予告

次回は、

「シーン設計編 ~ AIに伝わる映像演出の作り方 ~」

として、

  • カメラワーク
  • 背景設定
  • 光の演出
  • 色彩設計
  • シーン同士のつなぎ方

など、実際にどのようにシーンを作り込んでいるのかを紹介したいと思います。

MV制作はまだ始まったばかりですが、完成までの過程をこれからも公開していきます。