前回は、AIに伝わるシーン設計について紹介しました。
今回は、実際に動画生成AIへ入力するための**「最初の1枚」**となる画像の作り方について紹介します。
動画生成AIは、入力された画像をもとに映像を作り出します。
つまり、最初の画像の品質が、その後の動画全体の品質を左右すると言っても過言ではありません。
私も制作を始めた当初は、「雰囲気の良い画像ができれば十分だろう」と考えていました。しかし実際に試してみると、それでは思い通りのMVにはなりませんでした。
そこで今回は、私が実際の制作で意識している画像生成のポイントをご紹介します。
主人公は「同じ人物」であり続けなければならない
MVでは、複数のシーンをつなぎ合わせて1本の作品にします。
そのため、主人公がシーンごとに別人のように見えてしまうと、作品への没入感が大きく損なわれます。
私は画像を作る前に、主人公の設定をできるだけ細かく決めています。
例えば、
- 年齢
- 髪型・髪の長さ
- 髪色
- 顔立ち
- 服装
- アクセサリー
- 表情の傾向
などです。
動画生成AIは少し条件を変えただけでも人物の印象が変わることがあります。
そのため、毎回同じ人物になるように、プロンプトには共通する特徴を繰り返し記述しています。
背景は「場所」ではなく「世界観」を作る
背景も非常に重要です。
例えば「海辺」という一言でも、
- 朝日が昇る海
- 夕焼けの海
- 月明かりに照らされた海
- 嵐の海
では、まったく違う印象になります。
今回制作しているMVでは、歌詞の感情に合わせて背景を変化させています。
例えば、
孤独
静かな夜の海。
月だけが海面を照らし、波も穏やか。
色味は青を基調にしています。
希望
少しずつ明るくなる空。
月明かりが広がり、世界全体が柔らかい光に包まれる演出を取り入れています。
新しい展開
物語が進むにつれて、
海辺から都会の夜景へ。
背景を変えることで、主人公の心情や物語の転換を表現しています。
背景は単なる景色ではなく、もう一人の登場人物のような存在だと考えています。
構図も映像の一部
画像生成では、「何を描くか」だけでなく、「どう見せるか」も重要です。
例えば、
- 正面から歌うシーン
- 横顔を映すシーン
- 少し引いた全身のシーン
- 後ろ姿のシーン
では、同じ場所でも印象は大きく変わります。
私はシーンごとに、
「このカットでは何を伝えたいのか」
を考えながら構図を決めています。
光が変わると感情も変わる
画像生成で意外と重要なのがライティングです。
例えば、
月明かりだけのシーンでは静けさや切なさを。
街灯やビルの明かりが加わると温かさや希望を。
夕日の柔らかい光では懐かしさを表現できます。
光の色や強さは、セリフがなくても感情を伝える大切な要素です。
納得いくまで何度も作り直す
画像生成AIは、一度で理想の画像を作ってくれることはほとんどありません。
実際の制作では、
「表情は良いけれど背景が違う」
「背景は理想的だけれど人物の向きが違う」
「全体の雰囲気は良いが光が強すぎる」
ということがよくあります。
そのため、
プロンプトを少し修正して生成。
結果を確認してまた修正。
この作業を何度も繰り返しています。
完成した1枚の裏側には、多くの試行錯誤があります。
ChatGPTを「画像生成の設計者」として使う
今回の制作では、ChatGPTに画像を直接作ってもらうだけではありません。
まず、
- ストーリー
- シーンの目的
- 背景
- 主人公の設定
- 光の演出
- 構図
を一緒に整理し、その内容をもとに画像生成を進めています。
さらに、生成された画像を確認しながら、
「人物が少し右を向いているので正面寄りにしたい」
「背景をもう少し暗くしたい」
「月を画面右上に配置したい」
といった細かな調整もChatGPTと相談しながら進めています。
AIを"画像を作る道具"として使うのではなく、"映像制作のパートナー"として活用している感覚です。
画像は「動画の最初のフレーム」
今回のMV制作では、画像そのものが完成品ではありません。
この画像は、動画生成AIへ入力するためのスタート地点です。
そのため、
「この画像からどんな映像へ発展させるのか」
まで考えながら作っています。
主人公の視線。
立ち位置。
背景。
余白。
カメラが動く方向。
これらを意識しておくことで、その後の動画生成がスムーズになります。
画像は静止画ですが、その先の「動き」を想像しながら設計することが、MV制作ではとても重要だと感じています。
次回予告
次回は、
「動画生成編 ~ 静止画を映像へ変える ~」
として、
- 動画生成AIへの指示(プロンプト)の作り方
- カメラワークや人物の動きをどう伝えるか
- 思い通りの動画にならなかったときの修正方法
- シーン同士を自然につなぐための工夫
など、実際に動画を作る工程について紹介したいと思います。
いよいよ、静止画だった世界が動き始めます。