これまでの記事では、
ストーリー作り
シーン設計
画像生成
について紹介してきました。
今回は、いよいよ静止画を動画へ変える工程です。
画像生成AIで作った1枚の画像は、それだけでも美しい作品になります。
しかしMVでは、その世界に"命"を吹き込み、音楽とともに動かす必要があります。
その役割を担うのが動画生成AIです。
今回は、私が実際にMV制作で行っている動画生成の流れや、制作を通して感じたポイントを紹介します。
動画生成AIは「動画を作る」のではなく「動きを作る」
最初は私も、
「画像をアップロードすれば動画になる」
と思っていました。
もちろん、それだけでも動画は生成されます。
しかし、その結果は思い描いていたものとは大きく異なりました。
例えば、
主人公が歩き始めてしまう
カメラが意図しない方向へ回り込む
表情が変化してしまう
背景の雰囲気が変わる
など、細かなズレが積み重なります。
そこで気付いたのは、
動画生成AIに必要なのは「何を描くか」ではなく、「どう動かすか」を伝えることでした。
プロンプトは「映像監督の演出指示」
私は動画生成AIへのプロンプトを、
映像監督がスタッフへ出す演出指示
のように考えています。
例えば、
「海辺に立つ女性」
というだけでは情報が足りません。
実際には、
主人公はその場から動かない
視線は月を見つめたまま
髪だけが風で自然に揺れる
ワンピースの裾が静かになびく
波は穏やかに打ち寄せる
カメラはゆっくり前へ寄る
というように、一つひとつの動きを細かく指定しています。
「動かしたいもの」と「動かしたくないもの」を明確にする
制作を進める中で特に重要だと感じたのが、
動かすものと、動かさないものを区別して伝えることです。
例えば歌唱シーンでは、
動かしたいもの
口(リップシンク)
髪
衣装
波
雲
一方で、
動かしたくないもの
主人公の立ち位置
顔の向き
背景の構図
カメラアングル(必要以上の変化)
があります。
この指示が曖昧だと、AIは「動きがあるほうが自然」と判断し、歩き出したり、大きくカメラを動かしたりすることがあります。
そのため最近では、
「人物はその場に留まり続ける」
「背景構図を維持する」
「カメラ移動はごくわずか」
など、動かさない部分も明確に記述するようにしています。
カメラワークは控えめなくらいがちょうどいい
映画のような映像を目指すと、
つい大きくカメラを動かしたくなります。
しかしMVでは、
歌詞や歌声が主役です。
そのため、
ゆっくり近づく
わずかに横へ回り込む
ゆっくり引く
程度の自然な動きのほうが、歌に集中しやすい映像になると感じています。
実際の制作でも、
「もう少し控えめに」
「回り込みを半分くらいに」
と何度もプロンプトを修正しながら調整しています。
一度で完成することはほとんどない
動画生成AIは非常に優秀ですが、
一度で理想通りの動画になることはほとんどありません。
例えば、
「表情は理想的だけれどカメラが速すぎる」
「背景は良いが人物が歩き始める」
「髪の動きは自然だが服が大きく揺れすぎる」
といったように、少しずつ気になる点が見つかります。
そのため、
生成
↓
確認
↓
プロンプト修正
↓
再生成
というサイクルを何度も繰り返しています。
この試行錯誤こそが、AI動画制作の面白さでもあります。
シーンは「5秒単位」で考える
今回制作しているMVでは、
1つの動画を長く作るのではなく、
約5秒ごとに区切って制作しています。
こうすることで、
演出を細かく調整できる
修正がしやすい
映像のテンポをコントロールしやすい
後から編集でつなぎやすい
というメリットがあります。
長い動画を一度に作るよりも、短いシーンを積み重ねるほうが、最終的な完成度は高くなると感じています。
AIとの「対話」が映像を育てる
動画生成AIは、ボタン一つで完成品を作るツールではありません。
むしろ、
「もう少しカメラをゆっくり」
「髪だけを自然に揺らしたい」
「人物は動かさず背景だけに変化を付けたい」
そんな細かな要望を何度も伝えながら、一緒に作品を育てていく存在です。
私自身、生成結果を見ながらChatGPTと改善点を整理し、プロンプトを少しずつ磨いてきました。
この繰り返しによって、頭の中にあったイメージが少しずつ映像として形になっていく瞬間は、とても大きな達成感があります。
次回予告
次回は、
「編集編 ~ バラバラのシーンを1本のMVへ仕上げる ~」
として、
動画同士のつなぎ方
フェードやトランジションの使い方
シーンの長さ調整
リップシンクの合わせ込み
完成度を高める最終仕上げ
など、MVとして完成させる最後の工程をご紹介します。
ここまで作ってきた映像が、一つの作品としてつながる瞬間をお届けしたいと思います。
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