2026-06-26

【第3回】シーン設計編 ~ AIに伝わる映像演出の作り方 ~

 前回は、歌詞からMV全体のストーリーを作る方法を紹介しました。

ストーリーが決まったら、次はいよいよ**「シーン設計」**です。

ここで重要になるのは、

「自分が頭の中で思い描いている映像」と「AIに伝わる指示」は別物である

ということです。

AIは、人間の「こんな感じで」という曖昧なイメージを読み取ることはできません。

だからこそ、映像を構成する要素を一つひとつ具体的に言葉へ落とし込む必要があります。

今回は、私が実際に行っているシーン設計の考え方を紹介します。


シーンは「1枚の映画のカット」として考える

最初の頃は、

「海辺に立って歌う女性」

という程度のイメージしかありませんでした。

しかし、それだけでは動画生成AIによって毎回違う映像になってしまいます。

そこで現在は、1シーンを映画のワンカットとして設計しています。

例えば、

  • 主人公はどこに立っているか
  • カメラはどこから撮るのか
  • どちらを向いているか
  • 光はどこから当たっているか
  • 背景には何があるか

といった情報を整理してからAIへ指示します。


「何があるか」より「何を感じさせたいか」

例えば海辺のシーン。

「夜の海辺」

だけでは、AIによってまったく違う景色になります。

そこで私は、

  • 静かな波
  • 月明かり
  • 青い時間
  • ゆっくり流れる雲
  • 微風で揺れる髪

というように、

見えるものだけでなく、空気感まで設計します。

この積み重ねによって、映像全体の雰囲気が大きく変わります。


カメラワークを細かく決める

AIはカメラワークも指示できます。

例えば、

  • ゆっくり近づく(Push In)
  • 少しずつ離れる(Pull Back)
  • 横へ回り込む(Orbit)
  • 見上げる(Tilt Up)
  • 見下ろす(Tilt Down)

などです。

MVでは、歌詞の感情に合わせてカメラを動かすことで、映像の印象が大きく変わります。

例えば、主人公の決意を表現したい場面では、ゆっくりと近づくカメラを使うことで、視聴者も感情に引き込まれやすくなります。

逆に、孤独や距離感を表現したい場面では、少しずつカメラを引くことで、その感情を強調できます。


シーン同士の「つながり」を考える

これは実際に制作を始めてから強く感じたことです。

動画生成AIは1本ずつ映像を作るため、

前後のシーンとのつながりまでは考えてくれません。

そのため、

次のシーンへどう繋げるか

を最初から設計しておく必要があります。

例えば、

前のシーンの最後で主人公が右を向いていたら、

次のシーンの最初も右を向いた状態から始める。

手の位置や体の向き、視線、背景の明るさまで合わせることで、自然につながる映像になります。

実際の制作では、この「最初のフレーム」と「最後のフレーム」を意識することで、シーン同士を滑らかに接続できるようになりました。


光と色で感情を表現する

MVでは、光も重要な演出です。

例えば今回の作品では、

  • 海辺では青く静かな月明かり
  • 希望を表す場面では少し明るい光
  • 都会では温かみのある街明かり

というように、シーンごとに光の役割を変えています。

色を変えるだけでも、視聴者が受ける印象は大きく変わります。


AIに伝える情報は「多すぎる」くらいでちょうどいい

動画生成AIを使い始めた頃は、

短いプロンプトで十分だと思っていました。

しかし実際には、

情報が少ないほどAIの解釈に任せる部分が増え、毎回違う映像になってしまいます。

現在では、

  • 人物
  • 表情
  • 動き
  • 背景
  • 天候
  • カメラ
  • 雰囲気
  • 感情
  • 次のシーンとのつながり

まで細かく文章にしています。

その結果、頭の中でイメージしていた映像にかなり近いものを生成できるようになりました。

もちろん、一度で理想の映像になることはほとんどありません。

何度もプロンプトを修正し、生成結果を見比べながら少しずつ完成度を高めています。


AIとの対話が作品を育てる

今回の制作を通して感じているのは、

動画生成AIは「ボタン一つで理想の映像を作ってくれる魔法の道具」ではないということです。

むしろ、

AIと対話しながら作品を一緒に育てていく感覚

に近いと感じています。

映像を見て、

「もう少し表情を柔らかくしたい」

「背景を少し暗くしたい」

「カメラの動きをゆっくりにしたい」

そんな細かな修正を積み重ねることで、少しずつ理想のMVへ近づいていきます。


次回予告

次回は、

「画像生成編 ~ MVの印象を決める最初の1枚を作る ~」

として、

  • なぜ最初の画像が重要なのか
  • 主人公の見た目をどう統一するか
  • 構図やライティングの考え方
  • 動画生成AIで使いやすい画像を作るコツ

など、実際の制作で工夫しているポイントを紹介したいと思います。

いよいよ、MV制作が「設計」から「実際の映像づくり」へと進んでいきます。

2026-06-13

【第2回】歌詞からMVストーリーを作る方法 ~AIでMV制作プロジェクト~

 前回の記事では、AIを活用したMV制作の全体的な流れについて紹介しました。

今回は実際に制作を始める最初の工程である、

「歌詞からMVのストーリーを作る方法」

について紹介します。

MV制作というと、まず映像を考え始めるイメージがありますが、私の場合は逆です。

最初に考えるのは、

「この歌は何を伝えたいのか」

という部分です。


歌詞をそのまま映像化しない

MVを作る際に最初に気を付けていることがあります。

それは、

歌詞をそのまま映像にしない

ということです。

例えば、

「月」という言葉が出てきたら月を映す。

「海」という言葉が出てきたら海を映す。

これだけでは単なる説明映像になってしまいます。

MVは歌詞を説明するものではなく、

歌詞の中にある感情を表現するもの

だと考えています。


まずは主人公を決める

ストーリーを作る前に決めるのが主人公です。

今回制作しているMVでは、

  • 若い女性
  • 一人でいる時間が多い
  • 誰かを想い続けている
  • 希望を失わない

という人物像を設定しました。

歌詞の主人公が男性であっても、映像では女性を主人公にすることで、より普遍的なラブストーリーとして表現できると考えたからです。

主人公を決めることで、

  • 表情
  • 服装
  • 行動
  • 演技

が統一され、MV全体に一貫性が生まれます。


歌詞を感情ごとに分類する

次に歌詞を細かく分析します。

私が行っている方法は、

歌詞を「出来事」ではなく「感情」で分類することです。

例えば、

希望

  • 君を信じている
  • いつまでもそばにいる

寂しさ

  • 一人でいる
  • 会えない時間

決意

  • 守りたい
  • 支えたい

幸せ

  • 一緒にいる時間
  • 思い出

このように感情ごとに整理します。

するとMVの流れが自然に見えてきます。


MV全体の物語を作る

感情の流れを整理すると、

今回のMVでは次のようなストーリーになりました。

前半

孤独な主人公

遠くにいる大切な人を想う

思い出を振り返る


中盤

不安や寂しさを感じる

それでも相手を信じ続ける

前を向き始める


後半

夜空や月が希望の象徴になる

世界が少しずつ明るくなる

愛は消えないという結論へ向かう


歌詞に書かれていない部分も映像で補完しながら、一つの物語として構成していきます。


シーン割りを作る

ストーリーが完成したら、曲の時間に合わせてシーンを配置します。

例えば、

イントロ

夜の海辺


Aメロ

一人で歩く主人公


サビ

想い出の映像

夜空と月


間奏

場所の変化

海から都会へ


ラストサビ

希望と再会のイメージ


アウトロ

満天の星空

静かな余韻

この段階では細かな演出は考えません。

まずは大まかな設計図を作ることが目的です。


AI時代でも一番大切なのは人の想像力

最近はAIに歌詞を渡すだけで映像を作ることもできます。

しかし実際にMV制作を進めて感じるのは、

AIが作るのは映像であり、

物語を作るのは人間だということです。

どんな世界観にするのか。

主人公は何を感じているのか。

視聴者に何を伝えたいのか。

その部分を考えるのは今でも人間の役割だと思います。

そして、その考えた物語を形にするための強力なパートナーがAIなのだと感じています。


次回予告

次回は、

「シーン設計編 ~ AIに伝わる映像演出の作り方 ~」

として、

  • カメラワーク
  • 背景設定
  • 光の演出
  • 色彩設計
  • シーン同士のつなぎ方

など、実際にどのようにシーンを作り込んでいるのかを紹介したいと思います。

MV制作はまだ始まったばかりですが、完成までの過程をこれからも公開していきます。

2026-06-07

AIだけでMV制作に挑戦!ChatGPTと動画生成AIでオリジナルMVを作るプロジェクト始動

 

こんにちは。


今回から、AIを活用してオリジナル楽曲のミュージックビデオ(MV)を制作するプロジェクトの記録をブログとして公開していきます。

近年、画像生成AIや動画生成AIの進化によって、個人でも高品質な映像作品を制作できる時代になりました。

しかし、

「実際にどのような手順で作るのか?」
「AIだけでどこまで表現できるのか?」
「MV制作の現場では何を考えながら進めるのか?」

といった部分は、まだあまり公開されていません。

そこで今回、私自身が実際に進めているMV制作プロジェクトを、企画段階から完成まで順番に紹介していこうと思います。

今回は第1回として、制作全体の流れ(計画段階)を紹介します。


今回制作するMVについて

制作するのはオリジナル楽曲のMVです。

一般的なMV制作では、

  • シナリオ作成

  • 絵コンテ作成

  • 撮影

  • 編集

という流れになりますが、今回は撮影を行わず、AIを活用して映像を制作していきます。

そのため、人が行うのは主に企画・演出・編集であり、映像そのものはAIが生成します。


制作全体の流れ

今回のMV制作は、以下の手順で進めています。

① ChatGPTで全体ストーリーとシーン構成を決める

まずは楽曲を分析し、

  • 曲のテーマ

  • 主人公の感情

  • 世界観

  • 映像の方向性

を整理します。

その上で、

「イントロ」
「Aメロ」
「サビ」
「間奏」
「アウトロ」

ごとにシーンを割り振り、MV全体のストーリーを設計します。


② 各シーンの内容を詳細化する

シーン割りが決まったら、さらに具体化していきます。

例えば、

  • 主人公はどこにいるのか

  • どんな表情をしているのか

  • カメラはどう動くのか

  • 光や色はどう変化するのか

  • 次のシーンへどう繋ぐのか

などを細かく決めます。

この工程によって、MV全体の統一感が生まれます。


③ 動画の開始画像をChatGPTで作成する

動画生成AIは、最初の1枚の画像によって映像の方向性が大きく変わります。

そのため、

  • 主人公の見た目

  • 背景

  • 構図

  • 光の演出

を調整しながら、シーンごとのスタート画像を作成します。

ここが映像の品質を左右する重要な工程になります。


④ 動画展開用のスクリプトを作成する

静止画が完成したら、その画像をどのように動かすかを指示するスクリプトを作成します。

例えば、

  • カメラがゆっくり近づく

  • 主人公が振り返る

  • 月明かりが強くなる

  • 星空が広がる

といった演出を文章で細かく指定します。

このスクリプトが、映像の演技指導書のような役割を担います。


⑤ 動画生成AIで映像を作成する

完成した画像とスクリプトを動画生成AIへ入力します。

すると、

静止画 → 動画

へ変換されます。

同じ画像でも、スクリプト次第でまったく違う映像になるため、何度も試行錯誤しながら理想の映像に近づけていきます。


⑥ 動画編集ソフトで仕上げる

生成された動画は、そのままでは長さや繋がりが不自然な場合があります。

そこで動画編集ソフトを使い、

  • 長さ調整

  • 動画同士の結合

  • フェード

  • クロスディゾルブ

  • エフェクト追加

などを行います。

こうして1本のMVとして完成させていきます。


⑦ シーンごとに繰り返す

MVは複数のシーンで構成されています。

そのため、

③開始画像作成

④スクリプト作成

⑤動画生成

⑥編集

をシーンごとに繰り返しながら完成へ近づけていきます。


次回予告

次回は実際に、

「楽曲の歌詞からどのようにストーリーを組み立てたのか」

について紹介する予定です。

単に映像を作るのではなく、歌詞の意味や感情をどう映像へ落とし込んだのかを詳しく解説します。

AIを活用したMV制作に興味がある方は、ぜひ続きもご覧ください。